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塗部の里の天女
『日本霊異記』上巻第十三話「女人、風声の行を好み、仙草を食ひて、現身に天に飛ぶ縁」という題の説話より。宇太郡(宇陀)の塗部の里の女人が日々水浴し、慎み深く宇陀の山野の野草を摘んで食べていたところ、孝徳朝の甲寅の年(654)に天女となって空を飛んだという。これは神仙思想が色濃く反映された逸話として宇陀という土地が持つ神秘性をより映し出している。
塗部の里の天女のゆかり地
嬉河原
諸説あるが、塗部とは漆塗りを司る「漆部造(ぬりべのみやつこ)」が置かれた地のことで、嬉河原(うれしがわら)という地名は、「漆河原」が変わったものと考えられている。